2008年6月29日 (日)

「798廠」北京のアートスポット(レポート)

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北京には「芸術区」と呼ばれるアートエリアが4つありますが、メディアアート展「SYNTHETIC TIMES 媒体中国2008」のオープニングに訪れた際に「798芸術区」(798廠)にも足を伸ばしました。

「798廠」とは工場番号798という意味で、北京の北東部郊外に位置します。1950年代に中国人民解放軍が軍事機器の生産拠点として建てた工場で軍事機器や半導体を作り出していました。その後、中国政府の経済政策転換により工場は閉鎖され、操業停止となった工場には、アート制作に最も必要とされる“広い空間”が大量に空きスペースとして残されました。

798i_2 1990年代初めごろから、中央美術学院の学生などがアトリエとして「798廠」に移り住むようになり、2002年に老舗ギャラりーがにオープンしたことをきっかけに、「798廠」は多くのアート関係者に知られるようになります。

798k 旧東ドイツのバウハウスを思わせる建築美とその格安の賃貸料、そしてアート制作に相応しい魅力的なスペースにアーティストだけでなく、ギャラリー関係者や、レストランオーナーを魅了し、今では一大アートビレッジを形成しています。

Ucca 中でも、2007年11月にオープンした「UCCA」(ユーランス現代美術センター)は巨大な国営工場の一棟をそのままアートセンターにした大規模なものです。オーナーは世界でも有数の中国アートコレクターでもあるベルギーのユーランス夫妻。8000平米の敷地には3つの巨大な展示スペースと図書館、講堂、売店、カフェも併設されています。

798e 中国だけでなく世界中の現代アートの紹介や、企画展示の開催、セミナーなど教育にも力を入れている「UCCA」の成功に追随し、現在新たな海外出資による大規模アートセンターの新設プロジェクトも進んでいます。

798b_2 大小100以上のギャラリーや本屋、お洒落なカフェなどがひしめく「798廠」。土曜日の午後には多くのギャラりーでオープニングパーティなどが行われ、敷地には多くの外国籍の観光客も訪れます。

798y_2アートだけでなく、映画上映会や、クラブイベントなども最近は盛んに行われ、現在では住居を構える人も多くなりました。かつて、工場であった「798廠」は生活文化圏へと変貌しつつあります

798a_2■798廠(798芸術区)
http://www.798art.org/
所在地 北京朝陽区酒仙橋4号

■UCCA(ユーランス現代美術センター)
http://www.ucca.org.cn
所在地 北京朝陽区酒仙橋4号798廠芸術区
営業時間:10:00〜19:00[月曜休]

■関連情報LINK
「SYNTHETICTIMES=合成時代」媒体中国2008レポート

2008年6月29日 (日) 020 お知らせ(海外), 046 SYNTHETICTIMES-媒体中国 | | トラックバック (0)

2008年6月11日 (水)

「SYNTHETICTIMES=合成時代」媒体中国2008レポート

2016年のオリンピック開催候補地に東京が残っているが、オリンピックのプレイベントとしてメディアアートの展覧会が開かれることが東京でありえるだろうか?

01北京ではオリンピックの文化イベントとして大規模なメディアアート展「SYNTHETICTIMES - Media Art China 2008(媒体中国2008)」が6月10日から7月3日まで中国美術館で開催されている。メディア芸術祭が上映されることもあり、開幕式と内覧会に出席したので簡単にレポートしたい。

03中国における現代美術の活況には見張るものがあり、フランスの美術情報サイト「artprice.com」によると、市場規模はアメリカ、イギリスに次いで世界で3番目にまで成長してるそうだ。

07 メディアアートに関しても欧米の有力フェスティバルの巡回展を中心に増加している。昨年8月には「文化庁メディア芸術祭上海展」、秋には北京と広州で「美麗新世界:当代日本視覚文化」展など、日本主導のメディアアート展も人気を集めている。

Photo「SYNTHETICTIMES=合成時代」と名づけられた今回のメディアアート展は、主催が中国唯一の国立美術館である中国美術館であり、実行委員会会長は中央美術学院のファン・ディアン教授、アーティスティックディレクター/キュレイターにはザン・ガー氏と、主催、企画、運営の3つとも中国自らが担っており、このような形態での開催は私が知る限りにおいては初めてである。

Photo_2 6月9日の午後5時から始まった開幕式には500名を超える人たちが集まりとても盛大。来場者の顔ぶれも国際色豊かで、アメリカ、イギリス、オーストリア、オランダ、カナダ、スイス、ドイツ、韓国、日本などからアーティストや、キュレイター、リサーチャー、メディアアートセンターやフェスティバルのディレクターたちが大勢出席していた。式典は中国らしく挨拶が延々と続き、欧米からのゲストたちは少しくたびれている様子も。内覧会を挟んで映像展示をおこなうサテライト会場でのレセプション、夕食会とつづき全てのプログラムが終わったのは10時半をまわっていた。

Photo_3 中国美術館での展示は、屋内4500平米と屋外2000平米の非常に大きなスペースを使っている。屋内会場だけでも国立新美術館でのメディア芸術祭の展示スペースの2倍以上にもなる。世界29ヶ国からのアーティストの作品が「身体を超えて」「感情的なデジタル」「組み換え型リアリティ」「ここでも、そこでも、どこでも」の4つのテーマに沿って展示されているが、作品ごとに割り当てられているスペースも広く、また作品の持つ世界観を丁寧に見せようとしていて非常に好感が持てるものであった。

02 展示作品は40点余り、アルス・エレクトロニカをはじめとする欧米の有力なメディアアートフェスティバルで、この数年話題になった作品も多く含まれている。印象としては6~7割ぐらいがそのような作品であろうか。あまり難解な作品は少なく体感的な理解しやすい作品が多く選ばれていた。世界レベルでの選りすぐりのメディアアート作品がずらりと並ぶのだから面白くないわけがない。日本だけでなく欧米でもなかなかこれだけの作品が揃うことは少ないのではないか。

Photo_4 そのような作品に混じって中国人アーティストによる作品や、日本や韓国などアジアからの作品がある。日本からは唯一エキソニモの『Object B VS』が出展している。エキソニモによると海外フェスティバルに出展していたのをキュレーターのザン・ガーが見て声がかかったとのこと。個人的には中国に来たのだから中国やアジアの作品をもっと見たかったというのも正直な感想。

06 日本からの展示は少なかったが、サテライト会場である天安門東側の北京皇城芸術館では、「文化庁メディア芸術祭」の映像作品が上映。中国では日本動漫(アニメとマンガ)は人気が高いが、今回のメディア芸術祭上映もきっと人気を集めることだろう。

04 全体としての感想としては、最近見たメディアアートの展覧会のなかでも規模的にも内容的にもすばらしかったのだが、何か物足らなさを感じたのも事実である。それは多くの作品が海外のフェスティバルなどですでに評価を受けたものであり、中国自らが新たな概念を世界に向けてプレゼンテーションするといったタイプの展覧会ではなかったからだと思う。

05 ただそのようなことは彼らも重々承知の上で、まずは中国の若い世代に世界レベルのメディアアートの現状を体験させ、中国ならではのメディアアートをアピールしていくのは次の段階でと考えているのかもしれない。

阿部芳久(CG-ARTS協会)

■媒体中国2008 (SYNTHETICTIMES-Media Art China 2008)
http://www.mediartchina.org/
会期 2008年6月10日(火)~7月3日(木)
会場 中国美術館(中国・北京)

■関連情報LINK
日本メディア芸術作品展2002(北京)
文化庁メディア芸術祭上海展2007(上海)
アジアからの文化力(第11回メディア芸術祭シンポジウム)
美麗新世界:当代日本視覚文化

2008年6月11日 (水) 000 メディア芸術祭, 040 展覧会・イベント(海外), 046 SYNTHETICTIMES-媒体中国 | | トラックバック (0)

2008年4月25日 (金)

北京五輪の文化イベントとして大規模なメディアアート展が開催。

Pic_theme01_03 北京オリンピックの文化イベントとして大規模なメディアアート展「SYNTHETICTIMES-Media Art China 2008(媒体中国2008)」が6月10日から7月3日まで中国美術館で開催されます。

中国においては、2002年と2007年の文化庁メディア芸術祭展など海外のメディアアート展はこの数年で急増していますが、「媒体中国2008」は中国人キュレーターによる大規模なメディアアート展として注目を集めています。

会場の中国美術館は北京市の中央に位置し、中国唯一の国立の美術館として現代美術のリサーチ、プレゼンテーション、プロモーションなども行っています。
今回の展覧会のために、歴史ある中国美術館を世界的に活躍するオランダ人建築家がメディアアートの展覧会場に相応しくイメージを一新。メイン会場の1階エントランス部分に巨大な人工の「丘」と「湖」を出現させます。

屋内の4500平米と屋外2000平米の大きなスペースには世界29カ国からのアーティストの作品が「身体を超えて」「感情的なデジタル」「組み換え型リアリティ」「ここでも、そこでも、どこでも」の4つのテーマに沿って展示。
日本からはエキソニモの『Object B VS』が出展するほか、中国や韓国のメディアアーティストによる新作の展示も数多く予定されています。
オープニングイベントとして6月13日に北京で、20日に上海でスイス・アートカウンシルとのコラボレーションによるエレクトロミュージックのイベント『SWITCH ON』がスイスと中国を結んで行われます。

また、サテライト会場として天安門東側の菖蒲公園内の北京皇城芸術館では、「アルスエレクトロニカ・アニメーションフェスティバル」をはじめ、ヨーロッパのメディアアートシーンで活躍するビデオアート作品が上映の予定です。

欧米各国の美術館やメディアアート団体と連携し、カルチャーオリンピックを目指す「媒体中国2008」。本展のキュレイターであるザン・ガー氏はニューヨーク在住ということもあり、先日プレイベントとしてニューヨーク近代美術館(MOMA)やパーソンズカレッジで先行のプレ展覧会とフォーラムも行っています。第11回文化庁メディア芸術祭においてもテーマシンポジウム「アジアからの文化力」に出演していただきました。(写真)

■媒体中国2008 (SYNTHETICTIMES-Media Art China 2008)
http://www.mediartchina.org/
会期 2008年6月10日(火)~7月3日(木)
会場 中国美術館(中国・北京)

■関連情報LINK
日本メディア芸術作品展2002(北京)
文化庁メディア芸術祭上海展2007(上海)
アジアからの文化力(第11回メディア芸術祭シンポジウム)

2008年4月25日 (金) 040 展覧会・イベント(海外), 046 SYNTHETICTIMES-媒体中国 | | トラックバック (0)