今秋、文化庁メディア芸術祭が出展する、「神戸ビエンナーレ」の100日前プレイベントが6月27日に神戸海洋博物館にて開催。神戸ビエンナーレの総合ディレクターであり、華道家である吉田泰巳氏と、招待作家の榎忠氏によるアーティストトークと、「わ wa」のメディア力 -自然とアートと伝統と- をテーマにシンポジウムの2部構成で行われました。
華道家で韓国光州ビエンナーレへの出展するなど、日本の伝統的な文化を国内外に発信してきた吉田泰巳氏からは、現代生け花への警鐘「相聞奏華」の精神、何ものにも束縛されず素朴で優しくしなやかな艶を含んだいけばなを挿けることを説き、前衛華道家として映像を使った生け花のインスタレーションなど、伝統と革新の間で挑戦する自身の活動を語られていました。
アーティスト榎忠氏からは、神戸ビエンナーレで出展(店?)する「BAR ROSE CHU」について、ビデオを交えながらプレゼンテーションを行い会場を沸かせましていました。「BAR ROSE CHU」は、作家自身が扮装するバーのママ(ローズ・チュウ)が、来場者をもてなすというもので、会期中のハプニングを期待させるものでした。
シンポジウムでは、矢田立郎神戸市長による、神戸ビエンナーレが他のアートビエンナーレと似ていない、独自のフェスティバルになるよう、期待と豊富を語られました。
その後、嵯峨芸術大学大森正夫教授の司会進行により、神戸ビエンナーレ2009グリーンアート展の審査委員でもあり東京芸術大学先端芸術表現学科たほりつこ教授と、日本いけばな芸術協会肥原碩甫理事長と、メディア芸術祭事務局のCG-ARTS協会阿部芳久事業部長がパネルディスカッションを行いました。
まず、CG-ARTS協会の阿部事業部長から、“メディア芸術”という日本ならではの枠組みの説明や、メディア芸術祭12年間の成長のプロセスについてプレゼンテーションを行いました。メディア芸術祭は、ジャンルのヒエラルキーを取り払い、メディアアート、エンターテインメント、アニメ、マンガといったものを並列に扱うことを特徴とし、始まった当初は批判もあったが独自性を大事にすることによって大きく成長してきたことを伝え、今年で2回目を迎える神戸ビエンナーレが地域の歴史や文化とつながったビエンナーレとして、大きくなっていくようエールを送りました。
たほりつこ氏は、国内外で発表してきた植物や自然を用いた、自身のランドスケープ作品を紹介し、地域住民とコミットしながら、プロジェクトを行うことによる成果や、植物や自然といった変化していくモチーフを取り扱う事で、人間と自然との関わりあいによって生まれる作品について述べました。
最後に、肥原碩甫氏が前衛生け花において鬼面というモチーフが扱われてきた歴史について述べました。鬼面はそれまでの伝統を受け継ぐ中で保守的になってしまった生け花の世界において、革新や変化のシンボルとして扱われてきました。
その話を受け継ぎ、大森正夫氏より、今のポップカルチャーが現在の社会において鬼面性をもった革新的な存在になりうるのか、なっているのかという質問が上がり、伝統と前衛についてのでディスカッションがなされました。
神戸ビエンナーレ2009では、新たな試みとして、たほ りつこ氏や造園家の涌井史郎氏など、自然をモチーフにした芸術に詳しい方々を審査委員に向かえグリーンアート展が予定されています。グリーンアートは自然の要素を取り込み、刻々と変化していく芸術です。日本の伝統的な芸能である華道を含め、日本には物事の移ろいをいつくしむ美意識があります。そうした考えを再評価し、「永続性」を一つの価値基準とする西欧文化や、西欧文化の踏襲しながら発展していった日本の美術に対する、アンチテーゼとして開かれます。
「わ wa」テーマに10月3日から52日間開催される「神戸ビエンナーレ」、どのように展開していくのか楽しみです。
■神戸ビエンナーレ2009
KOBE Biennale2009 港で出合う芸術祭
http://www.kobe-biennale.jp/
会期 2009年10月3日-11月23日(52日間)
会場 メリケンパーク、兵庫県立美術館、神戸港ほか
■神戸ビエンナーレ2009 100日前プレイベント
http://www.kobe-biennale.jp/event/100/index.html
日時 2009年6月27日(土)15:00-17:30
会場 神戸海洋博物館1Fホール
◎PHASE1 15:00~
アーティストトーク
吉田泰巳(神戸ビエンナーレ2009総合ディレクター)
榎忠(神戸ビエンナーレ2009・招待アーティスト)
◎PHASE2 15:40~
シンポジウム
矢田立郎(神戸市長)
阿部芳久(文化庁メディア芸術祭事務局部長)
たほりつこ(東京藝術大学先端表現科教授)
肥原碩甫(日本いけばな芸術協会理事長)
大森正夫(神戸ビエンナーレ2009ディレクター)
写真:左から、たほりつこ(東京藝術大学先端表現科教授)、大森正夫(神戸ビエンナーレ2009ディレクター)、榎忠(神戸ビエンナーレ2009・招待アーティスト)、阿部芳久(文化庁メディア芸術祭事務局部長)